コラム
2026/01/14

一日を振り返ってみると、「思っている以上に座っている」と感じる人は少なくありません。
通勤、デスクワーク、スマートフォン、テレビ。現代の生活は、意識しなければほとんどの時間を“座ったまま”過ごす構造になっています。
そして近年、この「座りすぎ」そのものが、運動不足とは別の健康リスクになることが、国内外の研究で明らかになってきました。
つまり、「運動しているから大丈夫」では済まされない時代に入っているのです。
かつて健康指導では、「週に何回運動しているか」が重視されてきました。
しかし現在は、一日の中で“どれだけ長く座り続けているか”が、強く問題視されています。
長時間座った姿勢が続くと、身体では次のような変化が起こります。
下半身の血流が低下する
股関節や背骨の動きが制限される
筋肉の活動量が極端に減る
特に太ももやお尻といった大きな筋肉が使われなくなることで、全身の代謝が落ちやすくなります。
研究では、長時間の座位が続くことで、
肥満
糖代謝異常
心血管系への負担
といったリスクが高まることが示されています。
これは、運動習慣の有無に関係なく起こる点が重要です。
たとえば、
「朝や夜に運動しているが、日中は8時間以上座りっぱなし」
という生活では、身体への負担が相殺されないケースもあると報告されています。
身体の構造的な視点から見ても、座りすぎは問題です。
人の身体は本来、
立つ
歩く
しゃがむ
伸びる
といった動きを繰り返す前提で作られています。
ところが長時間の座位では、
股関節は曲がったまま固定され
背中は丸まり
首は前に突き出た姿勢
が続きやすくなります。
この状態が習慣化すると、姿勢の崩れが“普通”になり、肩こりや腰痛、首の不調が慢性化しやすくなります。
ここで誤解されやすいのが、
「姿勢を正せば解決する」という考え方です。
意識だけで良い姿勢を保つのは、実は非常に困難です。
なぜなら、動かない時間が長いほど、正しい姿勢を支える筋肉が働きにくくなるからです。
つまり必要なのは、「座り方を我慢すること」ではなく、座り続けない身体の使い方です。
では、現実的にどうすればよいのでしょうか。
答えはとてもシンプルです。
「こまめに動くこと」です。
30〜60分に一度、立ち上がる
数歩歩く
股関節や背中を軽く動かす
これだけでも、血流や筋肉の働きは大きく変わります。
大きな運動をする必要はありません。
“座りっぱなしを分断する”ことが、最も効果的な対策です。
セラピストの立場から見ると、「座りすぎ」は現代特有の生活習慣病とも言えます。
多くの不調は、強い負荷ではなく、小さな不自然さの積み重ねによって生じます。
長時間座ることが当たり前になった今だからこそ、「どう動くか」だけでなく、「どれだけ止まり続けていないか」を意識することが大切です。
身体は、少し動かすだけでも確実に反応します。
完璧を目指す必要はありません。
まずは、
「今、どれくらい座っているだろう?」
と気づくこと。
それが、現代人の身体を守る第一歩になります。
整体セラピスト

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